子育て世代におすすめ地域特集【関東編】住まい探しのポイントも解説

子育て世代の方にとって「子育てしやすい環境」は、住まい選びの条件で最重要ポイントといえます。

親として安心して子どもの成長を見守ることができて、自分たちも快適に働ける地域に住まいを構えたいものです。しかし、漠然と探しても理想の地域を見つけるのは難しいです。

そこでこの記事では、全国の建築・住宅関連の専門家と連携する「家づくりの匠編集部」が、子育て世代の皆様に関東圏でおすすめの地域をご案内します。

今回は、東京、神奈川、埼玉、千葉の一都三県から各都市をひとつずつご紹介します。こちらの都市について、環境を始め、通勤のしやすさ、そして気になる各自治体が実施している子育て支援策についてに言及します。

また合わせて、住まい探しのポイントと都内と郊外の地域の違いによるメリット・デメリットについても解説していますので、そちらも合わせてご参考になさってください。

子育て世代が住まいを探す際のポイント

子育て世代が住まいを探すにあたっては、いくつかのポイントを押さえておくことが大切です。

ここでは、具体的な住まい探しのポイントを4つ紹介します。これから住まいを探そうとしている人、子どもが生まれたら引越しをしようとしている人はぜひ参考にしてください。

住まい探しのポイント①「周辺環境」

子育て世代が住まいを探す際、最も重視すべき点が住まいの周辺環境です。

例えば、子育て支援施設がある、公園が多く散歩しやすいといった点は無視できません。もちろん、日常生活に欠かせないスーパーやコンビニ、ドラッグストアなどがあるかどうかも重要です。スーパーに関しては、複数の店舗が利用できる環境が理想的だといえます。

そのほかにも、小さい子どもは、急に熱を出すこともあるため、医療機関にすぐにアクセスできるかどうかも重要なポイントでしょう。

また、子どもの教育環境を重視したい場合は、自宅周辺に学習塾があるかどうか、受験を希望する学校や進学率の高い学校が近くにあるかどうかもチェックしておくべきです。

関東圏であれば、多少自宅から学校や塾が離れていても、通学・通塾はできますが、移動時間が長くなるなど負担がかかります。そのため、住まい探しの段階から自宅の近くの学習環境もチェックしておきましょう。

住まい探しのポイント②「交通網」

子育てをするために郊外に家を持ち、都心で働くという人は多いため、都心へのアクセスの良さを考慮する必要があります。

例えば、快速や特急が停車するかどうか、始発駅であるかどうかといった点は確認しておきましょう。また、終電が何時なのかという点も重要です。

そのほかにも、利用できる路線の本数が多いと遅延や事故などが発生した時も代替手段になるため、合わせてチェックしておくことをおすすめします。

住まい探しのポイント③「治安」

安心して子育てに取り組むためには、街の治安についても考慮しなければなりません。

警察のホームページから各自治体の犯罪発生率をチェックできるので、事前に確認しておくことをおすすめします。また、興味のあるエリアは実際に現地を訪れて通学路や交通量、さらには街灯の数などをチェックしておくと安心です。

住まい探しのポイント④「間取り」

住まい探しにあたっては、子どもの成長を考慮する必要があります。

例えば、現在は乳児であっても、成長に伴い子ども部屋が必要となるでしょう。そのため、3LDKや4LDKなど、将来的に子ども部屋として使用できそうな部屋がある物件を選ぶことをおすすめします。

また、収納スペースにも注意が必要です。子どもの成長に伴い衣類や学習道具、習い事の道具など収納するものが増えるため、入居時は収納スペースが余るくらいの方がいいでしょう。

そのほかにも、小さい子どもがいる場合は、キッチンのレイアウトもチェックしておくべきです。例えば、対面式のキッチンであれば、料理を作りながらリビングにいる子どもの様子を確認できるため、安心できます。

自治体の子育て支援策をチェック

多くの自治体では、さまざまな子育ての支援策を実施しています。

例えば、第二子の保育料が半額、第三子以降は保険料免除としているケースや一定の年齢までであれば子どもの医療費をサポートするケースなども見られます。

支援策は自治体によって異なり、独自の支援策を行っているケースもあるため、気になる自治体がある場合は、ホームページをチェックすることをおすすめします。

共働きの場合は保育の充実度に注意

子育て世代の中には、夫婦共働きのケースもありますが、その場合、保育施設の充実具合もチェックしておきましょう。例えば、近くに保育園があるかどうかは乳幼児を持つ親であれば重要な関心事となるはずです。

保育園に入園できたとしても、自宅から距離が離れていては送迎に時間がかかるため、負担も大きくなります。そういった点も踏まえて、自宅の徒歩圏内にあるかどうか、施設数がどのくらいあるかといった点を確認しておきましょう。

また、自治体によっては待機児童が多いケースもあります。待機児童数に関しては各自治体のホームページから確認できるため、事前に確認しておくと住まい選びの参考になります。

関東の子育て世代におすすめ地域

ここでは、関東地方で子育てをする方に向けて、おすすめの地域を紹介します。

関東地方と一言でいっても一都六県から構成されているため、どの街がいいのか迷う人も多いでしょう。

ここでは、東京、神奈川、埼玉、千葉の各都市を一つずつ取り上げています。ぜひ住まい選びの参考にしてください。

おすすめ地域①「神奈川県 川崎市(武蔵小杉)」

神奈川県 川崎市(武蔵小杉)

神奈川県川崎市は、7つの行政区から構成されている市ですが、ここでは中原区、特に武蔵小杉について紹介します。中原区は、2022年4月時点で約26万人、13万世帯が暮らす行政区です。

中原区の中でも、武蔵小杉は近年再開発によりタワーマンションの数が増えているなど、子育て世代注目の街だといえます。

駅周辺には、「武蔵小杉東急スクエア」や「グランツリー武蔵小杉」「ららテラス 武蔵小杉」と言った商業施設があるなど周辺の環境は申し分なしです。

これらの施設は、子育て世代の利用を想定してベビーカーも利用できるよう、通路の幅が広めに設定されている点も特徴です。

交通網に関しては、JR横須賀線・JR南武線・JR湘南新宿ラインの3路線のほか、東急東横線、東急目黒線が利用できます。

また、相鉄線も直通しているため、東京駅方面や新宿駅方面などの都心はもちろん立川や国立、府中などの多摩地域方面、さらには横浜へも1本でアクセス可能です。

等々力緑地、中原平和公園などの大きな公園もあり、待機児童数は0人(※1)であるなど、子育て世代には住みやすい環境だといえるでしょう。

※1 参考:川崎市 公式ホームページ「認可保育所の入所・待機児童数」
https://www.city.kawasaki.jp/450/page/0000030622.html

おすすめ地域②「千葉県 浦安市」

おすすめ地域②「千葉県 浦安市」

千葉県浦安市は、2022年3月時点で約17万人、8万世帯が暮らす千葉県北西部の市です。東京ディズニーリゾートでもおなじみの自治体ですが、子育てにも適しています。

市内には、JR京葉線やJR武蔵野線、東京メトロ東西線が乗り入れているため、東京都心はもちろん、武蔵野方面や埼玉県などへのアクセスも可能です。

市内の移動は、「東京ベイシティバス」というバスがあり、市内各地を繋いでくれます。

浦安市は駅から少し離れたエリアにマンションが建っているケースもありますが、バスを利用することで、駅へのアクセスもしやすくなっています。

そのほかにも、浦安総合公園からは東京湾が一望できるなど、子どもを連れた散歩におすすめの公園も充実している点も特徴です。

さらに、浦安市では自治体が「子ども医療費助成」(※2)を提供しています。こちらは、市内に住んでいる子どもが病気や怪我によって医療機関を受診すると、医療費全額もしくはその一部を助成してくれるというものです。

0歳から中学校3年生までの子供(15歳に達した日以後の最初の3月31日までの児童)が対象となっているため、親にとっては大きな助けとなるでしょう。

※2 浦安市 公式ホームページ「子供医療費助成」
https://www.city.urayasu.lg.jp/kodomo/kosodate/teate/1000779.html

おすすめ地域③「東京都 江戸川区」

おすすめ地域③「東京都 江戸川区」

東京都江戸川区は、2022年3月時点で約68万人、34万世帯が暮らす東京東部の自治体です。

東京23区の中でも4番目に面積が広い区であり、人口の約1割を〜12歳までの子どもが占める(※3)など、子育てにもおすすめの自治体だといえます。

区内には、JR総武線、JR京葉線のほか、都営新宿線・東京メトロ東西線、京成本線の5路線が乗り入れており、都心方面はもちろん、千葉県へのアクセスもしやすい点が特徴です。

葛西臨海公園や総合レクリエーション公園といった大型の公園は、休日のお出かけ先にもなります。

また、江戸川区は子育て支援策も充実しています。

例えば、中学3年生までの子どもは、保護者の所得に関係なく医療費の助成制度が利用できます。

また、条件を満たすことで13,000円/月の手当が最大で12回支給してもらえる制度「乳児養育手当(ゼロ歳児)」(※4)は昭和44年から実施している区独自の制度となっています。

そのほかにも、育児経験者や保育士の資格所有者が1歳未満の子どもの面倒をみる制度「保育ママ」(※5)も整備されています。子育てでの不安を相談することもできるため、子育て世代にとっては大きな助けとなるでしょう。

※3 参考:江戸川区 公式ホームページ「町丁目別世帯と人口・年齢別人口報告〈2021年度〉」
https://www.city.edogawa.tokyo.jp/e004/kuseijoho/gaiyo/tokei/jinko/jinko2021.html

※4 参考:江戸川区 公式ホームページ「乳児養育手当(ゼロ歳児)」
https://www.city.edogawa.tokyo.jp/e049/kosodate/kosodate/teateshien/youiku.html

※5 参考 江戸川区 公式ホームページ「保育ママ」
https://www.city.edogawa.tokyo.jp/e048/kosodate/kosodate/hoiku/nitijou/mama/index.html

おすすめ地域④「埼玉県 越谷市」

おすすめ地域④「埼玉県 越谷市」

埼玉県越谷市は、2022年5月時点で約34万人、15万世帯が暮らす埼玉県南東部の市です。

市内にはJR武蔵野線と東武スカイツリーライン(東部伊勢崎線)が乗り入れています。

武蔵野線は埼玉県各地や東京の多摩地域方面、さらには千葉県へ乗り換えなしでアクセス可能です。また、東武スカイツリーラインは東京メトロ東京メトロ日比谷線・半蔵門線、東急田園都市線に直通しているため、渋谷や銀座などの都心へも簡単に行けます。

そのほかにも、国道4号線、国道4号バイパスが通っているため、自動車の利用もしやすくなっています。

越谷市には、関東最大級のショッピングモールである「イオンレイクタウンmori」があります。

生活に必要なものは基本的にここで購入できるため、買い物で不便を感じることはないでしょう。イオンレイクタウンmoriは武蔵野線の「越谷レイクタウン駅」から徒歩でもアクセスできるため、自動車がなくても問題ありません。

子育て支援に関しては、15歳までの医療費支援のほか、「こしがやファミリー・サポート・センター」(※6)の利用が可能です。

こちらのセンターでは、子育てをサポートしたい人やサポートしてもらいたい人が会員となっており、保護者に変わって子どものお迎えをしたり、子どもの一時預かりを行ったりしています。

※6 参考:越谷市公式ホームページ「こしがやファミリー・サポート・センター」
https://www.city.koshigaya.saitama.jp/kurashi_shisei/kosodate/ikuji/azuke/famisapo.html

都心と郊外のメリット・デメリットを理解しておく

都心と郊外のメリット・デメリットを理解しておく

関東と一言でいっても、エリアのタイプには都心と郊外があるため、住まい選びにあたっては、都心と郊外のメリット・デメリットの双方を理解しておくことが大切です。

都心の場合、塾や習い事などの施設が充実しているため、学習施設の選択肢が多くなります。また、学校は公立だけでなく私立も多くあるため、子どもの状況に応じた学校選びができる点も特徴です。

ただし、都心の住まいは費用が高い点には注意しなければなりません。また、公園や運動施設なども少なく、あったとしても規模が小さいケースが一般的です。

一方で郊外に住む場合、大きな公園や運動施設があるため、屋外でのアクティビティを楽しみたい場合には適しています。また、住まい費も都心に比べると抑えられるため、費用負担を抑えてその分教育費に充てることも可能です。

ただし、郊外だと、都心ほど習い事や塾の選択肢が多くありません。また、通える範囲にある学校も限られている点には注意が必要です。

まとめ

今回は、関東地域で子育て世代におすすめの自治体について解説しました。

子育て世代が住まいを選ぶ場合、自宅周辺の環境や都心へのアクセスのしやすさ、自治体による子育て支援策などをチェックしておきましょう。

また、都心・郊外ともにメリット・デメリットが存在するため、それぞれを踏まえたうえで、自分たちの子育ての方針にどちらの環境が合っているのか検討することが大切です。