「頭金」とは住宅を建てる際に、住宅ローン以外で最初に支払う自己資金(現金)のことです。この記事では、頭金の概要や手付金との違い、新築一戸建てを建てる際の頭金の相場などについて解説します。

頭金には、住宅ローンの借入額を減らせる、利息が少なくなるといったメリットがありますが、デメリットも少なからず存在します。

頭金とはどのようなもので、どのくらいの金額を用意するべきなのか、用意する際の注意点など、頭金の基本がわかる記事となっています。これから新築一戸建てを建てようとしている人はぜひ参考にしてください。

そもそも頭金とは

頭金とは

頭金とは、住宅価格の総額から住宅ローンによって支払う金額を差し引いたお金のことです。頭金は住宅を購入する際に先払いするものであり、例えば、3,000万円の新築一戸建てを建てる際に、500万円を頭金と支払うと、残りの2,500万円をローンで支払うことになります。

新築一戸建てを建てる際は、住宅ローンを利用するケースが一般的です。しかし、必ずしも住宅価格の全てをローンで支払うわけではなく、頭金によって住宅価格の一部を先に支払うケースもよくあります。なお、頭金は自己資金(現金)で支払うことになります。

頭金と手付金は何が違うのか

頭金と混同しやすい言葉に手付金がありますが、両者は異なるものです。頭金は、住宅価格の総額から住宅ローンによって支払う金額を差し引いた金額のことですが、手付金は売買契約を結ぶ際に支払うお金のことです。

手付金は、契約を確定するために支払われるものであり、契約を結ぶために必ず支払わなければなりません。万が一契約後に契約を解除することになったとしても施主のもとに手付金は返ってきません。手付金は、住宅価格の5〜10%程度が一般的となっています。

一方の頭金は必ずしも支払わなければならないものではありません。詳しくは後述しますが、頭金なしでも新築一戸建てを建てることは可能です。

新築一戸建ての頭金は建築費用の20%が相場

新築一戸建ての頭金は建築費用の20%が相場

相場的に、頭金は新築一戸建ての建築費用の20%程度が目安とされています。例えば、3,000万円の新築一戸建てを建築する場合、頭金は3,000万円の20%で、600万円となります。
ただし、住宅を建築する際は、住宅価格以外にも各種税金や手数料といった諸費用が発生する点に注意が必要です。この諸費用は住宅価格の5%程度になるとされているため、頭金と合わせて住宅価格の25%を住宅ローンの頭金として自己資金で用意しておくと安心できます。

新築一戸建てを建てる上で頭金を用意するメリット

新築一戸建てを建てる上で頭金を用意するメリット

頭金を用意することによって施主が得られるメリットはさまざまです。ここでは、具体的にどういったメリットがあるのか解説します。頭金を用意するべきか、どのくらい用意するか悩んでいる人はぜひ参考にしてください。

借入額が減るため支払額を軽減できる

頭金を用意すると、その分住宅ローンとして借りる金額が減るため、毎月返済する金額を軽減することができます。住宅ローンの返済が始まってから、病気や事故、失職などによって家計の状況が急変する可能性はゼロではありません。そのような場合に備えて、毎月の住宅ローンの返済額が少しでも軽減されている方が安心できるでしょう。

返済期間が短くなり総支払額を減額できる

頭金を用意して、住宅ローンの借り入れ金額を減らすことができれば、返済期間も短くすることができます。
例えば、以下のような条件の場合、頭金を用意する方が返済期間は短くなります。

  • 新築一戸建て価格:3,500万円
  • 頭金:500万円
  • 毎月のローンの支払い:10万円
  • 返済期間:約25年
  • 新築一戸建て価格:3,500万円
  • 頭金:なし
  • 毎月のローンの支払い:10万円
  • 返済期間:約29年

頭金を用意するからといって、毎月のローンの返済額を少なくする必要はありません。上記のように月々の返済額が同じでも、頭金の有無で返済期間に大きな違いが生まれます。
また、頭金を少なくすることで、借入利息も少なくなるため、ローンを完済するまでに支払う総額も抑えられるでしょう。

新築一戸建てを建てる際に頭金を用意するデメリット

新築一戸建てを建てる際に頭金を用意するデメリット

頭金を用意する場合、さまざまなデメリットがあることも理解しておかなければなりません。ここでは頭金のデメリットについて解説します。メリット・デメリットの双方を理解したうえで、頭金を用意するのかを検討してください。

頭金の用意に時間がかかる

頭金は決して安い金額ではないため、用意するためにある程度の時間がかかる場合があるでしょう。毎月の返済を楽にしたり、返済期間を短くしたり、するためにはそれだけ多くの頭金が必要になります。頭金の用意に時間がかかると、住宅ローンを利用し始めるタイミングも遅くなるため、返済期間が後ろ倒しになって完済時期が遅くれます。場合によっては、収入が減少したリタイア後もローンの返済を行わなければならないこともあるでしょう。

急な出費に対応しにくくなる

頭金は自己資金で用意するため、預金を頭金として使おうと考えている人もいるかもしれません。しかし、預金を全て頭金に回してしまうと、急な出費が発生したときに対応できなくなります。将来起こりうる病気や怪我などの不測の事態に対応するためにも、ある程度の預金は残しておく必要があります。

頭金なしでも新築一戸建てを建てられる

頭金なしでも新築一戸建てを建てられる

以前は頭金なしで住宅ローンを組むことはできませんでしたが、現在では頭金なしでも住宅ローンが利用できます。
頭金を用意しないと返済期間が長期に及び、総支払額も増額しますが、頭金を用意することが難しい人にとっての新築一戸建てを建築する一つの選択肢となるでしょう。

頭金なしで新築一戸建てを建てる際の注意点

頭金なしで新築一戸建てを建てる際の注意点

頭金なしで、新築一戸建てを建てる際にはいくつかの点に注意しなければなりません。ここでは具体的にどういった点に注意すべきなのか解説します。

借入金が増えるため負担も増える

前述のとおり、頭金がないと借入金が増え、返済期間も長くなります。それに伴い利息負担が増えるため、返済時の負担が多くなる点には注意が必要です。
住宅ローンの利息は、借入金に対して発生する仕組みです。例えば、3,000万円の住宅を建てる際に住宅価格の20%となる600万円を頭金として用意すると、借入金は2400万となります。頭金なしで建てるよりも600万円分の利息をなしにできるため、最終的な利息負担額を減らすことができます。逆に、頭金がないと600万円分の利息も発生するため、返済時の負担が大きくなります。

諸費用は現金払いの場合がある

住宅を建てる際は、不動産会社に対して支払う仲介手数料のほか、住宅ローンの手数料や登記費用、手付金、保険料などの諸費用が発生します。この諸費用は現金での一括払いが基本となっている点に注意してください。
頭金ゼロでの住宅購入=購入時の負担が一切不要というわけではないため、頭金を用意しない場合でも、諸費用分は現金を用意しなければなりません。

将来的な値下がりリスクに対応できない

頭金がないと、将来住宅が値下がりしたときのリスクに対応できなくなります。これは、頭金がない=借り入れ金額が多いということになり、ローンの残高をなかなか減らすことができず、住宅の価格が値下がりしたときにローン残高が市場価格を上回る恐れがあるためです。
市場価格よりもローン残高が多くなってしまうと、売却したとしてもローンが残ってしまうため、売ること自体が難しいものとなってしまいます。
終の住処として新築一戸建てを建てる場合は、住宅の市場価格が下がっても大きな問題はありませんが、将来的に売却する可能性がある中で建築する場合は、値下がりリスクを考慮する必要があるでしょう。

頭金の額を決めるときの注意点

頭金の額を決めるときの注意点

頭金を用意することで、ローンの借入額が減り、返済期間を短くすることができます。しかし、頭金は多めに用意すればするほどいいというものでもありません。ここでは、頭金の額を決める際に覚えておいてほしい注意点について解説します。

追加費用の発生を想定しておく

建設工事の最中に、追加でオプションをつけたい、素材や仕様をワンランクアップデートしたい、となる可能性はゼロではありません。しかし、オプションやグレードアップのために住宅ローンの借入額を増やすとなると、申し込み手続きを行い、審査を受けなければならないため、現実的な選択ではありません。そのため、オプションやグレードアップは自己資金で対応することとなります。自分たちが理想とする住宅を建てるためにも、いざという時に備えて、追加費用の発生を踏まえたうえで頭金の額を決めることが大切です。

急な支出に対応できるようにする

先ほども触れていますが、自己資金を全て頭金にあててしまうと、急な支出に対応できなくなるため、頭金額を決める際はこの点にも注意しなければなりません。例えば、事故や病気などで入院や手術が必要となると、お金が必要となります。また、療養期間中は仕事ができないため、一時的に収入がなくなる可能性もあるでしょう。頭金に自己資金をすべてあててしまうと、こういった不測の事態が発生したときに対応できなくなります。
また、住宅ローンの返済中に自動車を新しく購入する、子供の進学に伴い教育費の負担が大きくなるといったケースも想定されます。

新築一戸建てを建てた時点での生活状況がずっと続くことはなく、さまざまな変化が発生するため、そのような点も考慮したうえで頭金の額を決めることが重要です。
どのくらいの金額をいざという時のために残しておくかわからない場合は、半年間の生活費を目安にしてください。半年間収入がなくても生きていけるだけの資金があれば、その間に余裕をもって対策を考えることができます。

まとめ

今回は、頭金についてその概要や新築一戸建てを建てる際の相場、頭金を用意するメリット・デメリットなどについて解説しました。
今回ご紹介したメリット・デメリットを参考にしていただき、返済のバランスやご家族とのライフプランを検討して、無理のない返済ができるように頭金の金額を決めましょう。