東京に次いで2番目に栄えている大都市として知られる大阪府では、新規に家づくりをする方がたくさんいます。
人が多いと、それだけ家の工法やデザインにも違いが出てくるものです。
工務店に勧められるまま普通の戸建て商品を購入する方もいれば、素材や構造にこだわって設計事務所に相談しながら家づくりをする方もいるでしょう。
住まいの作り方には実に様々な方法があり、皆さんもまだ知らない建築方法も存在するものです。
中でも板倉工法は名前こそ知られていないものの、大阪で家づくりをする際には是非おすすめしたい家づくりです。

板倉工法とは?

家づくりでは、使う素材や組み立て方の違いによって各工法が決められています。
国内でメインとなっている木造軸組工法、アメリカ等で一般的なツーバイフォー工法、ビルやマンションなどに使われる鉄筋コンクリート造などが代表的です。
さらにこれらの工法を細かく分けて行くと、非常に多くの種類になります。
日本の家づくりで採用されている工法は海外とは比べ物にならないほど多く、建築技術がいかに発達しているのかが分かります。

そんな数多くの工法のひとつである板倉工法は、伊勢神宮などの有名な神社に使われるなど、伝統的な建築文化のひとつとして知られる工法です。
板倉づくり、とも言われる建築方法で、主にスギなどの無垢材を使って建築します。
この建築方法を家づくりに取り入れている工務店は大阪でも非常に少なく、全国でも70社ほどしか存在しません。
全国の住宅会社が2万社以上あると言われているので、全体の1%以下にもなる珍しい工法です。
昔の建造物であれば大阪でも数多く採用されているのですが、家づくりの効率化が進んだ事や文化の変遷によって、板倉づくりの家は徐々に減っていきました。
ところが、近年になって筑波大学の安藤邦廣先生によって、一般家庭向きの住宅用に最適化された新たな工法としての開発が進められました。
板倉工法の住まいとしての利点を存分に引き出した建築方法の研究が進められたことにより、近年になって大阪でも再び注目を集めるようになっています。
大手のタマホームでも同様の技術が駆使されるなど、建築業界で密かに注目が集まっている工法です。
すでに、大阪で板倉づくりの一軒家を立てて暮らしている家族も多く存在しています!

板倉づくりの主な3つの特徴

板倉づくりには、大工さんの間で受け継がれてきた数多くの知恵と技術が活かされています。
普通、建築で木を組み立てる場合、柱や梁を繋ぎ合わせるのが大阪でも一般的ですよね。
長い木材をいくつも組み合わせて、その繰り返しで骨組を完成させていきます。
しかし、板倉工法ではそれだけに留まらず、厚みのある板を、溝を掘った柱と柱の間に落とし込んでいくのが特徴です。
床や壁になる部分に板を敷き詰めて、組み立てた木材同士の間を補うようにして施工を進めていきます。
板の数は多い時には1000枚使われることもあるなど、かなりの量が必要です。
予め用意する木材が非常に多いため、状態の良し悪しや形状によって使い分けしやすい利点があります。
例えば、リビングや玄関の目立つ箇所には綺麗で整った木材を使うなど、見栄えや用途を配慮しながら建築が進められるのが良い所です。

板倉工法では、筋交いを使用しない所も特徴的です。
筋交い(すじかい)とは、壁となる部分に/又は×印の形で木材を組み込んでつくる、建造物の強度を増すための木材です。
大阪でも起こる台風や地震に備えるための耐力壁に使われています。
そして、板倉工法ではこの筋交いを一切用いません。その代わりに「木摺り(きずり)」と呼ばれる板を使用します。
複数の木摺りを、落とし込んだ板壁に打ちつけることで、筋交いに代わって耐震性を備えることができます。
通常の筋交いでは、柱や梁に対して加えられる力が一点に集中してしまいがちです。
同じ部分に力が集まることで部分的な損傷を招く恐れがあります。
一方、木摺りであれば力が分散しやすくなるため、その心配がありません。

また、込み栓においては特に大阪の職人の伝統的な技術が光ります。
込み栓とは、柱や梁を繋ぎ合わせた時の接合部分を固定するために使用される細長い木材です。
細いとは言ってもかなり頑丈な木材が使われており、木と木をしっかりと繋ぎ合わせて頑丈に固定することができます。
通常の工法では金具を使用しますが、込み栓なら木材のみで設計できるため、木と木のめり込みに期待できる柔軟な構造の家づくりになります。
接合箇所を2つ用意してダブルの込み栓にすれば、更に強度が上がります。
地震や風による影響も少なくなることが実証されており、大阪における現代の家づくりにも適した工法です。

板倉づくりのメリット

  • 耐震性
  • 杉の無垢材使用によるメリット

繊細で個性的な技術が用いられている板倉づくりには、人が住む家としても数多くのメリットがあります。

耐震性

日本は地震大国と言われており、住宅にも耐震性がかなり重要な項目として見られる傾向にあります。
特に大阪は、1995年に起きた阪神淡路大震災で甚大な被害を受けた地域であるため、地震に対してはかなり敏感です。
大阪で起きた当時の震災では、耐震性の低い住宅が軒並み半壊や全壊を招くなど、あらゆる家の脆弱性があらわになりました。
ところが、筋交いを使っていない板倉づくりの建物は被害が少ないということも同時に判明しました。
上でも述べたように、板倉工法では筋交いの代わりに木摺りを使って壁の耐震性を上げています。
木摺りは筋交いに比べて、複数の木材で繊細に施工されているため、強度が非常に高いのが特徴です。
大震災による揺れにも強く、大阪に建てる家を地震から守るのに活躍してくれます。
板倉工法では無垢の木材が使われるため、そのしなやかかつ強固な性質が活きた面もあると言われています。
揺れ自体を減らす制震性能が高いわけではありませんが、たとえ揺れが起きても建物全体で分散されるため、損壊を招くリスクが軽減されるというのが板倉づくりの良い所です。
こうした耐震性の高さは、現代の板倉工法を考案した安藤先生によって現在も研究が進められており、実験が繰り返し行われています。

杉の無垢材使用によるメリット

集成材などは極力使わず、大阪で未加工のスギの木材を使うことで様々な恩恵が受けられます。
スギは、建築業界を問わず大阪でも様々な分野で使われているほどメジャーな木材です。
柔らかめで加工がしやすいのが最大の特徴で、大阪に住む我々の生活に欠かせない家具や住宅に使用する木材を大量生産するのに適しています。
木の成長が早く伐採が進みやすい上に、乾燥の進行も早い材種です。
そのため流通しやすく、多くの建築現場で使われています。
大阪でも古くから住宅の建材に使われてきた背景があり、時代が変わった今でも主流となっていることを考えると、まさに万能の木材と言えるでしょう。

入手のしやすさや、カットや乾燥に時間がかからないことから、大阪の住宅会社が仕入れを行いやすい木材のひとつです。
スギを使えば建築のコスト削減がしやすいため、価格もそれだけ抑えることができます。
また、無垢材という特徴から、大阪につくる家が長持ちしやすいというメリットがあります。
人工的につくられた床材などを使用すると、年月が経過することによる影響が出るようになります。
しかし、加工をしていない木材のみであれば劣化の心配が少ないため、何十年も高い質を保った状態で安全に暮らせます。
寿命が延びればメンテナンスや補修の必要も減り、ランニングコストが抑えられるため、家計にもやさしい木材です。
スギの木は、日本のあらゆる森に数多く生えている木です。
海外の木材を輸入せず、日本のスギの木を建材として大量に消費することで、国内の林業を繁栄させることにもつながります。

シックハウス症候群にならない家づくり

新築の住まいで生活する際に引き起こる病気として、近年ではシックハウス症候群が問題になっています。大阪にも患者が大勢います。
シックハウスは、建材に含まれる化学物質等によって住む人に健康面での被害をもたらすものです。
せきが出る、のどが痛むなど症状は人によって様々ですが、時には呼吸困難に陥るなど症状が悪化する場合もあります。
ビニールクロスなどの壁材や木材に使われる接着剤が原因となることが多く、デリケートな方であれば少量でも症状を引き起こすケースもあるようです。
事前にこのような被害が出ないように住宅会社が配慮しなければなりません。

そのためには、大阪で化学物質を含まない無垢の木材を使った家づくりを行うのがベストです。
板倉工法なら無垢の木材が建材の基本になるので、大阪で家を建てても微量の化学物質すら検出されることはありません。
過去にシックハウスを発症した経験のある方でも改善が見込める可能性があります。
経験がない方でも、アレルギーによるリスクが高い子どもの健康を考えて無垢材を選んでおけば、将来的にも安心です。

また、シックハウスは汚染された空気が部屋の中に充満することでリスクが高まります。
現在、大阪でよく見られるような気密性の高い住宅だと、部屋に化学物質やウイルスが入り込んだ時に影響を受けやすくなってしまいます。
板倉づくりなら、大阪で広々とした空間が作りやすい上、自然素材が空気を綺麗に保つ効果も得られます。
シックハウス対策は建築基準法でも義務付けられているものですが、最低限の基準を満たすだけでは、大阪での生活を送る上で完全にリスクを抑える事はできません。
大阪で安全性が高い無垢材を採用することで、一歩先を行く家づくりを目指しましょう。

木材の流通経路は特に重要!

特徴の項でも述べたように、板倉づくりでは板を大量に使用します。
大阪で新築を建てる際には木材を多く仕入れる必要があるため、その品質や価格は特に重要です。
板倉づくりの家を提供している大阪の工務店は、仕入れ先を慎重に選ぶことが求められます。
そこで候補となってくるのが、徳島県の製材所です。
徳島にはスギをはじめとした豊かな森林地帯があり、林業が盛んな地域のひとつです。
ただ林業が盛んなだけでなく、木を木材へ加工する製材技術が高い県としても知られています。
カットから乾燥まで、高い技術を備えた機械が工場に用意されています。
徳島の製材所で作られた木材は、県内に限らずあらゆる県外の地域へと送り届けられています。
このような製材のシステム化が進んだ地域から木材を仕入れることで、大阪でも大幅なコストダウンが可能となります。

大阪における現代の家づくりでは、海外の木材を輸入することが多くあります。
海外の木は加工しやすい上に、スギよりも価格が安いためコストの面から使われやすい傾向にあります。
しかし、外国産の木材は基本的に集成材などに加工されるため、化学物質を含むものが大半です。
また、日本の木のようなしなやかさと丈夫さを備えていないため、耐久性面で劣ってしまいます。
そうなると、せっかく安く住宅を建てたとしても寿命が短くなって結果的に損をしてしまうかもしれません。

多くの大阪の工務店が海外の木材を使っているのは、コストの面だけでなく、日本の木のようにヒビや反りが発生しにくいからというのも理由のひとつです。
住宅が完成した後に木が損傷を起こすと、アフターフォローが大変になりますよね。
クレームにもつながってしまうため、工務店側の効率を考えると損が大きいのです。
しかし、長寿命の安全な家をつくるには日本の木を使うのがベストです。
例え反りが起きたとしても無垢材の場合、構造的に問題はなく、年輪を持った一本の木(無垢材)から切り出されている証拠であり、後日の補修で改善することが大半ですので、そこまで大きな問題として捉える必要はありません。
また、基本的に大阪の工務店ではメンテナンスを徹底しているので、大きな損傷に至ることは稀です。

木の家として自然素材が豊富に使われているような住宅であれば、海外の木が使われていることはほぼありません。
しかし、その他の一般的な住宅は海外の木材が基本となっているので、大阪での工務店や商品選びには注意しましょう。
また、価格が安い場合には理由をしっかり追う癖をつけておくのがおすすめです。
徳島のような流通経路であれば、国内の木材を使った木の家でもリーズナブルな建築が可能となることもあります。
木が大量に必要な板倉づくりだからこそ、その仕入れ先は重視する必要があります。

建築方法の違う家に触れてみよう

大阪で家づくりをするにあたって、どんな家が良いのか候補に迷っている方も多いと思います。
そんな時には、建築方法の違いに触れてみてはいかがでしょうか。
日本にしかない伝統的な板倉づくりの家を選べば、健康的で安全な住まいを手に入れられます。
それだけでなく、スギの無垢材を使うことによるメリットが得られたり、職人の技術を自分の目で堪能することができるのも魅力的です。
大手のハウスメーカーが広告に出しているようなありふれた住まいを選ぶのではなく、日本独自の工法による家に触れるなど視野を広げてみましょう。

有限会社 丹陽社
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