注文住宅は、デザインや間取りなど自身の希望をとことん反映できる点が特徴ですが、実際に住み始めてから「こうすればよかった」と後悔することが少なくありません。
そこでこの記事では、注文住宅で後悔したことや注文住宅を建てる際のポイントについて解説します。
大切な時間とお金をかけて建てる注文住宅で後悔しないためにも、ぜひ失敗事例を参考にしてご自身が理想とする住まい作りの参考にしてください。
注文住宅で後悔したこと
注文住宅を建ててから「こうしとけばよかった…」「思っていたのと違う!」といった事態になるケースは少なくありません。
ここでは、どういった点に後悔している人が多いのか、具体的な事例を紹介します。
注文住宅の後悔①「生活動線にあっていない」
自分の好みの間取りにしたものの、実際に生活してみると、生活動線にあっていないというケースは意外と多く見られます。
生活動線とは、家事を行う時に室内を移動する時に通るルートのことです。
例えば、「洗濯機からベランダまでが遠く、ベランダから服の収納場所までも遠いため洗濯が大変」「お風呂に行くためにリビングを通らなければならないため、来客中はお風呂に入れない」といったケースが考えられます。
生活動線で失敗しないためには、普段の自分の行動パターンを把握しておくことが大切です。
注文住宅の後悔②「収納スペースが少ない・使いきれていない」
収納スペースが少ない、もしくは多すぎて使い切れていないという失敗例もよく見られます。
例えば、「クローゼットが狭いためにものを収納し切れない」「高さが足りないために収納できないものがある」といったケースは少なくありません。
また、「収納スペースはたくさんあるものの、奥行きが深くて使いにくい」「収納スペースの形がいびつでデッドスペースができてしまう」といった失敗例もあります。そのほかにも、「子どもの成長に伴い収納スペースが少なくなってきた」といった人もいるでしょう。
収納スペースを検討する場合、今自分が所有している荷物を把握するほか、収納の奥行きや高さを意識することが大切です。また、これから子どもが生まれる可能性がある場合は、将来的な変化を見越して少し多めに収納スペースを用意したほうがいいでしょう。
注文住宅の後悔③「冷暖房の効率が悪い」
注文住宅を建てた人の中には、断熱性や気密性が低いために、冷暖房効率が悪くなっている点を後悔している人もいます。
冷暖房効率が低いと、光熱費が割高になるため、その影響は決して小さくありません。
また、大空間のリビングや吹き抜け、スキップフロアなど、間取りに開放感がある場合も冷暖房効率が低下します。
冷暖房効率を低くしないためには、高い断熱性、気密性を備えた材料を選ぶ、空気の循環を意識した間取りにすることが大切です。また、間仕切りやカーテンなどがあると冷暖房効率を高めることができます。
注文住宅の後悔④「生活音への配慮がなかった」
実際に生活し始めると、生活音が気になることがあります。例えば、トイレがリビングに近いために来客時などに音が気になってしまう、寝室と風呂が近いため深夜の入浴やシャワーがしにくい、寝室が駐車場に面しているなどです。
このような事態を避けるためには、部屋の間取りや窓の位置、自分たちの生活リズムなどを考慮する必要があります。
注文住宅の後悔⑤「風通しや日当たりが悪い」
室内の風通しが悪かったり、日当たりが悪かったりすると日常生活でもストレスを感じやすくなります。
例えば、太陽光があまり入ってこないため室内が暗い、風通しが悪いためいつも空気がどんよりしているといったことが起こり得るでしょう。
また、逆に大きな窓を設置したために室内にいても眩しい、日焼けが気になるといったことが起こる可能性もあります。
日当たりは間取り図を見るだけでは想像しにくいため、方角までチェックすることが大切です。また、風通しを良くするためには、1つの部屋の2つの窓を設置するようにしましょう。
注文住宅の後悔⑥予算オーバー
自分の希望する設備やオプションをつけていると、いつの間にか予算を超えてしまうことがあります。予算がオーバーすると、その後のローンの返済金額も大きくなるため、注意しなければなりません。
予算オーバーを避けるためには、どのような設備、オプションが必要なのか、優先順位をつけることが大切です。また、水回りの配置を一つにまとめることで配水管の工事費用を抑えられるなど、費用を抑えるための工夫も欠かせません。どうすれば費用を抑えられるのかわからない場合は、ハウスメーカーに相談するといいでしょう。
注文住宅の後悔⑦キッチンが狭い
キッチンが狭く作業が行いにくいという失敗例も見られます。
キッチンの中でも、対面式のキッチンは人気ですが、通路が狭いためにゴミ箱を設置するスペースがないといったケースがあります。
また、調理台スペースを広くしなかったために作業スペースを十分に確保できない、ミキサーやケトルなど他の器具を設置できないといったケースも少なくありません。
そのほかにも、キッチンの高さがあっておらず、使いにくいという失敗例もあります。高さが合わないと、ストレスになるだけでなく、腰痛などにもつながるため注意が必要です。
キッチンでの失敗を防ぐためには、事前にキッチンに設置するものを全て洗い出し、どこに置くのか決めて置くことが大切です。また、高さに関してはメーカーのショールームを訪れて実際に確かめてみることをおすすめします。
注文住宅の後悔⑧「設置したものの使用していない設備がある」
高いお金をかけて設置したものの、使用していない設備があり後悔している人もいます。例えば、お風呂にテレビを設置したものの、家事や子育てで忙しくお風呂でゆっくりとテレビを観ることが少ないといったケースは起こりやすいでしょう。
注文住宅を建てる場合、ついついオプションを追加してしまいがちですが、本当に必要なものはなんなのかよく検討することが大切です。また、設備によってはリフォームなどで後から追加できるものもあるため、必要だと感じたら設置することもできます。
注文住宅の後悔⑨「コンセントが足りない」
家電やスマートフォンの充電など、日常生活の中でコンセントを使用する機会はよくありますが、自宅のコンセントが少ないことを後悔しているケースもよくあります。
コンセントが少ない場合、延長コードなどを使用することカバーできますが、配線がごちゃごちゃしてしまい生活感が出てしまいます。
また、就寝時にスマートフォンを枕元において充電したい人は多いと考えられますが、コンセントとベッドの位置関係が悪いと、枕元で充電できない可能性もあります。
コンセントの設置場所を検討する際は、自分の生活スタイルを把握したうえで、ハウスメーカーに相談してみてください。
注文住宅の後悔⑩「リビングが道路に面している」
注文住宅を建てる場合、どうしてもどのような設備やオプションをつけるか、といったことに気を取られてしまいがちですが、外からの視線にも注意しなければなりません。
例えば、リビングが道路に面していると、外からの視線が気になってしまうため、リビングにいても十分にくつろぐことができなくなります。
また、玄関が道路に面していると、玄関を開けるだけで外から自宅の様子がわかってしまいます。
このような事態を避けるためには、建設予定地を訪れた時に、道路の状況や隣の家の向きなどをチェックしておきましょう。
注文住宅を建てる時のポイント
注文住宅を建ててから後悔しないためには、いくつかのポイントを押さえておくことが大切です。ここでは、具体的なポイントを4つ紹介します。基本的な部分ですが、非常に重要なポイントであるため、これから注文住宅を建てる方はぜひチェックしてください。
将来のことまで考えておく
間取りで後悔している人が少なくありませんが、間取りを検討する場合、現在だけでなく将来のことまで考えておくことが大切です。例えば、将来的に子どもが欲しいと考えている場合は、子どもの物を保管するスペースや子ども部屋まで考慮しておきましょう。
また、子どもが独立した後も夫婦でその家に住み続ける場合は、バリアフリーへの対応を考える必要があります。
将来のことを全て予想することは難しいですが、起こり得ることを洗い出すことができれば、より自分たちのライフスタイルにあった住宅を建てることができるでしょう。
絶対に外せないポイントを明確にしておく
注文住宅を建てる場合、設備やオプションの優先順位をつけておきましょう。さまざまなオプションが選択できるため、ついついあれもこれもと追加してしまいがちですが、そうしているとあっという間に予算を超えてしまいます。
自分たちにとって大切なものがはっきりすれば、そこに予算を割くこともできるため、後悔する可能性が低くなります。
資金計画は入念に立てる
予算オーバーは、注文住宅で起こりがちな後悔ポイントの1つですが、このような事態を避けるためにも、初期段階で入念に資金計画を立てておきましょう。
例えば、複数のハウスメーカーから見積を作成してもらうことで、具体的にどのような費用項目があり、どのくらいの費用がかかるのか、相場が把握できます。
また、住宅ローンを利用する場合は、無理のない返済計画を立てることが重要です。インターネット上には、無料で利用できる予算シミュレーションツールがあるため、それを利用して大まかな予算の目安を立てることもできます。
また、ハウスメーカーや工務店が資金計画に関するセミナーを開催することもあるため、そういった機会も積極的に活用しましょう。
将来的にメンテナンスが発生する点に注意
予算を考える場合、将来的に発生する可能性のあるメンテナンス費用についても検討しておくことが大切です。
新築住宅を建てる場合、数年後、数十年後に発生するメンテナンスを気にする人はいないかもしれません。しかし、どのような設備やオプションを選ぶかによって将来のメンテナンス費用に違いが出てきます。
例えば、無垢のフローリング材を選んだものの、傷つきやすくこまめなワックスがけが必要になるケースもあるでしょう。
将来的な費用負担を減らすためにも、どのくらいでメンテナンスが必要になるのか、メンテナンスにどのくらいの費用がかかるのか、ハウスメーカーに確認しておくことをおすすめします。
打ち合わせは時間をかけて行う
注文住宅を建てる場合、ハウスメーカーと打ち合わせを行うことになりますが、打ち合わせは時間をかけて入念に行うことが大切です。自分たちの生活スタイルや家族構成、オプションの優先順位、予算、懸念事項などを具体的に伝えたうえで、具体的な住宅のプランを練り上げて行きます。
打ち合わせが不十分だと、認識の食い違いが起こり、後々トラブルにつながりかねません。注文住宅の成否を大きく左右する部分であるため、しっかりと時間をかけるようにしてください。
注文住宅が向いている人・向いていない人
ここまで注文住宅で後悔したことについて解説してきましたが、注文住宅は全ての人に向いているわけではありません。中には建売住宅の購入が向いている人もいます。
以下のような人は注文住宅が向いているでしょう。
・間取りやデザインまでこだわりたい人
・オリジナルの住宅を建てたい人
・スケジュールや予算に余裕のある人
一方で、以下のような人は注文住宅にはあまり向いていません。
・実際の物件を確認してから購入したい人・後悔するリスクを下げたい人
・コストを抑えたい人
・できるだけ早く住宅を建てたい人
自分が住宅に何を求めるのか明確にしたうえで、注文住宅を選ぶのか建売住宅を選ぶのか判断するようにしましょう。
まとめ
今回は、注文住宅を建てて後悔したことについて解説しました。
デザインや間取りなど自分のこだわりを反映できる注文住宅ですが、間取りや収納、キッチン、コンセントなど、さまざまな部分で実際に住み始めてから後悔している人は少なくありません。
これから注文住宅を建てようとしている人は、先人の失敗事例を踏まえたうえで、住宅のプランを練るようにしましょう。